読者です 読者をやめる 読者になる 読者になる

dazai

ゴッホより普通にアジカンが好っき〜い!

人間はどのような育ち方をする動物か

 

 

 部屋からどこの誰が書いたかはわからない短い論作文を見つけ、さっと目を通す。そこには人類の進化、文明の発展に伴って失われた「人と人とのつきあいかたを学ぶこと」についての筆者の見解が、教育学的に述べられていた。

 

 要するに、人間は集団の中で他者を真似ることを通して人と人との関わり方を学び成長していく動物であり、限定された家族や自分と同じ歳の人間の集団の中でしか生活することのない現代社会においてそれを学んでいくことは、困難を極めるということである。そこで現状打破するために「道徳教育が大事だ」と言われるようになり、道徳に力をいれていこうという風潮になっているということが書かれている。

 

 教科化が決まった道徳教育は、これから大勢の教育者によってさまざまな授業モデルが作られていくことであろう。教科書会社もこぞって素敵な作品を、心に響く物語を選定してくれているに違いない。しかしたかが閉ざされた空間での机上の学びで、馴染みのある大人による教壇からの訴えで、果たして子供たちの心は豊かに色づいてくれるのであろうか。単色で終わってしまわないであろうか。本当に、道徳教育だけが救いの一手になるのだろうか―。論作文の最期の一文には、こう書かれている。

 

 しかし、これは本来は道徳の問題ではないのである。

 

 結局、今の社会制度や学級制度が変わらない限り、力を入れた道徳教育を施したところで無意味であるということを、筆者は主張したかったのだ。わたしもこの意見には大いに賛成である。

 

 俳優、音楽家、文筆家とマルチな才能で活躍している星野源。わたしは彼の大ファンである。そんな彼がレギュラー出演していたNHKバラエティ「LIFE!~人生に捧げるコント~」の中の「LIFE! ANSWER」における「Q.あなたの人生を、漢字一文字で表してください」との問いに対し、以下の回答をしていて、わたしはその答えに非常に感動した。漢字については、堂々と「人」と答えた。以下、彼のコメントである。

 

f:id:machibook:20170507151206j:plain

 

 本当にいろいろな人に助けともらったなという思いがいろいろありまして。普段の生活のことでもお仕事のことでも、人によって自分が変わったりとか成長したりとか、ある人に出会って耐えることができたとか、あと自分が倒れてしまったときにある人が助けてくれた、ある人が命を助けてくれた…。だから本当にあの、いろんな人の出会いで自分の人生の道みたいなのがわーっとこう、選択肢みたいなのがそこでわーっと増えて、その進んだ先である人と会って、またそこでわーっと広がってっていう、それの繰り返しだったなあという。もちろんそれが例えばすごく悲しい思い出だっりする出会いでも、それによって出会う人がまたいて、そこから何かこう今の仕事につながる出会いだったり、とにかくとにかく、人生のターニングポイントみたいなところにはいろんな人がいて…。

 

f:id:machibook:20170507151222j:plain

 

 人に対する思いを熱く語ってくれた。彼は生死の境目をさまよった経験があるからこそ、こんな当たり前のようで誰もが気付くことができない人生の本質を、素直な気持ちで語ることができるのかもしれない。

 

 人は、人によって創られていくものである。ある一定の人間とだけ関わったり、同じ年の年齢の集団に属しているだけでは学ぶことのできない事柄は、たくさん存在する。家族との中を深めることも、同じレベルの同世代と力を合わせて成長していくことも勿論大切なことである。しかしその中にも、どうにかこうにか工夫をして、異なる環境に身を置く人との接点を設けていけるような取り組みをしていくことが、石器時代にうまく活きてきたシステムの再構築へとつながっていくのではないかと期待する。机上の道徳教育で人の心を学ぶよりまず、とにかくたくさんの人に出会わせよう。生涯人との関わりが大きな学びとなる、楽しいものなのだと知ってもらおう。そうして後世へと遺していこう。